XT-210,280,310 技術情報

 

1.新しいコロナ放電検出技術について
1-1 CORONA-i Surge Tester XT-280/210 動作原理

 
 
原理図

左に XT-280/210 の原理図を示します。
ON/OFF切替にはIGBTを使用し、高速化(1Sec1000回)、試験波形のクリーン化(ノイズを含まない)を実現しています。

 
 
動作波形

左に示す様に、ゲート電圧を一定時間( 10μsec ~ 100μsec )ON すると、時間と共に電流が増加します。その時流れる電流エネルギーは、磁気エネルギーとなってコイルに蓄えられます。
b 点で電流を OFF すると、磁気エネルギーは電圧エネルギーに変換されて、V1、V2、V3、V4 の様に振動します。

これは、クリーンな誘導電圧で微弱なコロナ放電波形を検出するに重要な技術です。
(第1波のプラスピークやマイナスピークに微弱なコロナ放電波形がでますが、ノイズがあるとコロナ放電波形を正確に検出できない)
 

1-2 誘導電圧法の利点

 
 
a)  サイリスタと異なり、IGBT は b 点で OFF になってから電圧が立ち上がります。
従って、V1、V2 付近で発生するコロナ放電波形を、外部ノイズなどの妨害無し(スイッチング回路は切り離されているので)で正確に検出することができます。
 
b) IGBT は高速応答(5μsec)、高耐圧(1.5kV)で、大電流(50A)を流すことができるので、高エネルギー密度のパルス(100J/sec)を発生させることができます。
これは、インパルス試験器よりも10 倍以上高エネルギー密度のテストができる事を意味します。
 
c) インパルス試験器の高圧発生は高圧コンデンサに充電して行います。
このようにコンデンサに充電する方法では充電時間の様な待ち時間が必要となり、速い周期でパルス駆動することが難しくなります。
コロナ発生には電離したイオンが消滅する前に次々と高周波・高電圧を印加する必要があります。印加スピードが遅いと発生したイオンが消滅しますので消滅する前に印加する速い周期の駆動が重要になるわけです。
当社のXT-280/210 は高周波・高電圧をIGBTで駆動するので早いパルス駆動が可能です。
インパルス試験器は、コンデンサの充電に時間がかかるため毎秒 20 パルス程度ですが、XT-280/210 は、毎秒 1000 パルスの高速駆動が可能です。
 

CORONA-i Surge Tester XT-310 動作説明
 

2-1 XT-310のブロックダイヤグラム

 

 

2-2 XT-310の動作波形

 
 
 
 

2-3 XT-310の基本動作

 
a) XT-310はD.D.S (Direct Digital Synthesizer)により歪の無い正弦波を合成します。

b) 200VAのPower Ampでノイズ成分の無い波形を出力します。

c) PB3aで5KVrmsの電圧を発生します。

d) 被測定トランスにコロナが出ると微小なコロナ電流がReturnの回路に流れます。

e) Corona Detectorがコロナ信号を検出してマイコンに送ります。

f) Noiseの無いPower Amp出力と高感度のCorona Detectorが微弱なCorona信号を正確に捕らえます。

3. 従来のコロナ放電検出技術について
3-1 インパルス試験器の動作原理

 

インパルス試験器は、左図に示すように、コンデンサ CH に高電圧(例えば+5kV )を充電してからサイリスタを導通させます。
すると、L1 の電圧は次頁の図に示すように振動します。

サイリスタは、流れる電流が 0 になると OFF しますので、次頁の図の V1 ~ V2 の間が導通で、V2 以後は OFF となります。
V2 以後は、CH やサイリスタは L1 と切り離されますので、純粋に L1 の特性で振動します。
従ってインパルス試験機でコロナ放電波形を解析できるのはV2 以降で電圧が下がってきてからです。
しかしコロナ放電が発生するのは電圧の高いV1 ~ V2 の間であり、この間は正確に解析できないことがわかります。

端子波形とサイリス

3-2 コロナ放電検出におけるインパルス試験器の欠点

 
a) V1 点から V2 点まではサイリスタが ON しているので、L1 に CH や電源が接続されています。
そのため、それ等の特性が重なることが妨害となって、コロナ放電波形を正確に分離することが難しい。
コロナ放電は電圧の高い V1、V2 付近に発生しますが、サイリスタのスイッチングノイズに妨害されて検出が難しくなります。
インパルス試験器で解析できるのはV2 以降です。
 
b) CH は高耐圧で、損失が小さいコンデンサが必要ですが、大容量のコンデンサを得にくく高エネルギーのパルスを発生しにくい。
 
c) CH の充電時間に時間がかかるため、パルス 間隔を速くできない。
 

4. 高周波巻上トランスについて
ストロボフラッシュや LCD バックライト照明用として、30kHz ~ 100kHz の周波数で1kV ~10kV (rms) を発生するトランスの需要が、近年増加しています。
それ等の部品は高周波・高電圧下での絶縁の確保に問題を抱え、市場に出荷後の製品の信頼性に疑問が残るものもあります。
信頼性を上げる方法として、高周波・高電圧での信頼性テスト法の確立が要求されます。
 

4-1 高電圧のテスト法として次の方法があります。

 
1) 直流電圧印加法
 
直流高電圧を被測定部品に印加して絶縁強度を試験します。
2) 部分放電試験(低周波高電圧印加法)
 
低周波50Hz~60Hzの高電圧を被測定部品に印加して部分放電(コロナ放電)を試験します。
 

上記2法は、従来行われている方法であり、左図に示す様に、L1 と L2(又はコア)間の絶縁のテストはできますが、端子 [1] [2] 間の層間絶縁テストはできません。
( [1]、 [2] は同電位であるため)

3) 高周波・高電圧パルス印加法
 

高周波・高電圧を [1] – [2] 間に加えて、[1] – [2] 間の耐圧を測ることができます。
そのとき、[1] – [2] 間に火花放電(Flashover)が起きるとエネルギーが放出されるので、印加波形が変化します。
又、高周波では、浮遊容量 CS にも電流が流れます。

絶縁部材があっても絶縁部材が誘電体となって微弱な暗電流が流れます。
絶縁部材の耐圧が十分であれば火花放電は起きませんが、電極間の気体が電離してコロナ放電が起きる心配があります。
コロナ放電はオゾン(o3)を発生しますので、オゾンによる酸化で絶縁部材が劣化しますと、火花放電(焼損)に至る危険があります。
従って、コロナ放電の有無を検査することが重要です。
コロナ放電測定を行うのに適した試験器としてSurge Tester XT-280/210が開発されました。

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