スタッフMです。

コロナが大きく手伝って、配信ライブが盛んになりました。ミュージシャンの中には、自分で機材を揃え、配信専門のスタッフを頼まずに自分自信で配信し、さらに技術を高めている人もたくさんいます。

わたしの友人でパーカッショニストの熊本比呂志くんもその一人。彼は自分やほかの人のライブを配信するうちにバイノーラルマイクに行き着き、今、アドフォクスの製品[BME-200]を使っています。

音楽の現場でバイノーラルマイクが担える役割にはどんなことがあるのか、使う人から見て[BME-200]にはどんな特徴があるのか聞いてみたくて、時間を作ってもらい話を聞いてきました。

 

《熊本比呂志 プロフィール》
民族音楽、ロック、ジャズ、クラシックなどを基礎に、ジャンルを超えた演奏スタイルが魅力のハンドパーカッショニスト。ジャズピアニスト山下洋輔氏のグループに加入するなど、様々な音楽家たちと演奏活動を行っている。

 

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【臨場感にこだわりたい】

熊本くんはパーカッショニストですが、近年では録音にも凝っていて、マイクなどの録音機材を揃えたり録音の技術を磨いて、友人や自分のレコーディングで演奏に加えエンジニアをしたりもしています。

まずは熊本くんの紹介代わりに、彼が演奏、撮影、録音している映像を。

録音は本当に奥が深く、録る人によって音楽の印象がガラッと変わることをわたしも知っています。ものすごく大雑把に言うと、熊本くんのこだわりはまず大前提として「自然な音」にあるように思います。そんな熊本くんがどうしてバイノーラルマイクに行き着いたのかを、まず聞いてみました。

どういう環境で配信しようかと考えたとき、良いマイク2本を少し離れた場所に置いて録ろうとするのが一般的かもしれないけれど、熊本くんはそれは違うと思ったそうです。

それでは音が遠くてインパクトがない。スマホやタブレットで聴く人が多いので、それだと音が立たないし、よく聞こえない。そこで考えたのは、ライン録音(楽器からケーブルで直接レコーダーにつなぐ)やオンマイク(楽器の極めて近くにマイクを置く)でした。

実際にやってみると、やっていること(演奏の細かい部分)がよくわかるようになったそうです。音像(楽器などの音が、あたかもその場に形があるかのように再現される様子)が大きく、ドカンと聞こえる。しかし回数を重ねるうち、「その場の空気感」が欲しくなってきたと。

そこで、オンマイクにプラスして、アンビマイク(離れたところに置いて空気感をまるごと録る)を置くことにしてみた。結果、良くはなったけれど・・・・配信がどんどん増えて当たり前になってきたとき、ライブの雰囲気を伝えるのにまだ何か足りたいと感じたそうです。

何かとは、その場にいるスタッフの拍手の音、場所の空気感のようなもの、などなど、現実に「そこにいる感じ」。ライブにおいてとても重要なポイントです。熊本くんは、そこにこだわりたい。

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音楽やお芝居など生のパフォーマンスを鑑賞するのが趣味の人にとって、コロナ禍で自由にライブを観に行けないことはとても大きなストレスだという話をよく聞きます。

配信でたくさん観られるとしても、やっぱり生で、その場にいてこそ伝わるものがたくさんあるからですよね。

人と人とが、同じ空間で、空気を通してやり取りできるものって、本当に本当にたくさんあると思います。アドフォクスが、バイノーラルマイクや集音器を作る際に大事にしていることもそこなのです。熊本くんも、まさに同じものを求めているということですね。

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そこで、アンビマイクに代えてバイノーラルマイクを入れてみたらいいんじゃないかと考え、いろいろ調べてみたそうです。

もともとyoutubeなどで街歩き動画を観るのが好きだったそうで、家でのくつろぎタイムによく観ていたのだそうです。最初はヘッドフォンで、そのうち5.1chのスピーカーを使って楽しんでいました。街歩き動画ではよくバイノーラルマイクを使っているので、配信のマイクのことを考えているときに頭の中で結びついたようです。

 

【空気感が伝わるようになった】

実際に配信に使ってみたところ、画面には映っていないところにスタッフがいるのを感じられるようになって良いそうです。ただ、今のところ無観客配信が多いので、お客さんのいる感じがどんな風に伝わるかは試せていないとのこと。

それから、この方法だと各マイクの分量など調整がたくさん必要になり、演奏もして配信技術も自分でやり・・・となると手が足りないので、熊本くんのやり方の場合には生配信より収録に向いているのではないかと。

実際に収録に使ってみたところ、とても使いやすく、音にとても繊細なエンジニアからの評価も非常に良かったとのことでした。収録となるとライブ配信より工夫できることもたくさんありますし、これからたくさん使ってもらえると嬉しいです。

 

次回は、熊本くんがBME-200を知ったきっかけや、セッティング方法、使ってみての印象などを書きたいと思います。おたのしみに!