技術情報トランス・コイルのコロナ放電試験の注意
さて今回は、コロナ放電試験器を使用した際に、よく間違える配線について説明します。部分放電やコロナ放電の測定を始めたら、どうも結果が不安定でおかしいという場合に参考になればと思います。
Ⅰ. コア-コイル間の試験
図1-1では巻線の片側①に高圧を印加し、残り②の側は接続していません。恐らく多くの方が②は①と同じ電位になると思われるのではないでしょうか。
しかし図1-1に灰色で容量を書いたように、コイル内には分布容量が存在します。分布容量が存在する為に、①に対して②は周波数と位相が変化します。そしてこの結果、測定値が不正確になります。これを安定させる為には図1-2のように、①と②をショートさせます。
①と②が同位相になり、測定結果が安定します。
Ⅱ. トランスの試験
トランスの試験の場合には一次コイルの②と二次コイルの③を接続した上で、二次コイルの両端、④と③にH(高圧)とL(リターン)を接続します。
更に測定周波数も実使用条件に合わせるのが良いでしょう。また、コアをグランドする場合があります。
一般的に高周波トランスはコアを浮かし、低周波トランスはグランドして使用されます。実使用状態に合わせた接続にして下さい。さて、図4では一時側を切り離していますが、これは不安定になる接続です。
一次コイルの両端①②が浮いている為に、一次コイルと二次コイル間の電位が定まらず測定値が不安定になってしまい、実使用状態と異なってしまいます。恐らく実使用状態では②と③が接続されている筈です。図2のように②と③を接続して下さい。図5では一次コイルに近い側の③にH(高圧)、遠い④にL(リターン)を接続しています。
この接続では二次コイルの一次コイルに近い側に高圧を印加するので、一次コイルと二次コイル間の電位差が急になり、危険な状態になります。恐らく実使用状態と違うのではないでしょうか。図5はまず大抵が接続ミスの筈です。実使用状態を確認し直して下さい。
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